株やFXは取引回数を重ねていけば、自然と勝率はある程度は上がっていきます
市場の動向にも敏感になり、買いや売りのタイミングも正確になります。しかし、それだけでは利益幅を広げることはできません。
「チャート」や「ローソク足」「移動平均線」などから株価の動きを予想する『テクニカル分析』が必要になってきます。
ここでは、株取引で勝率を上げるために、チャートや板などの見方について解説しています。
ローソク足と株価チャート
ローソク足は、株価チャートにおいて最も基本的なものです。
1日あるいは1週間の株価の動きを「始値」、「高値」、「安値」、「終値」の4つに分けて、それを1つの図形で表したものです。
その形がローソクに似ていることから「ローソク足」と呼ばれています。
このようにして1日の株の値動きをまとめたものを「日足」、1週間では「週足」、1ヶ月間では「月足」と言います。
これらを連続して表記したものを「株価チャート」と言います。
ローソク足から得られる情報は
1本のローソク足から得られる情報は、「始値・終値・高値・安値」の4つです。
1日の値動きを表す日足で説明すると、始値から終値までの値動きは「胴体」部分で表します。
始値より終値の方が高ければ「陽線」と呼ばれ、下図の(a)で表し、逆は「陰線」で(b)で表されます。
高値は「上ひげ」の一番上の位置に当たり、安値はその逆で一番下のひげに当たります。
また、上下にひげがついていない場合は、始値もしくは終値がその日のうちで高値もしくは安値だったことを意味します。
株価チャートで方向性を予測する
株価チャートは、1週間の動きを表したもの(週足)を連続させて、3ヶ月、6ヶ月あるいは1年とつなげたものです。
チャートの流れから、その銘柄の今後の方向性を予想して投資の判断に利用します。
その日の1日だけでなく、連続した株の値動きを見ることで、その株の今後の上昇や下降性がわかるのです。
株価チャートは、その銘柄の今後の方向性を知る上で欠かすことのできません。
「投資を考えている株が全体的に見て上昇中なのか、下降中なのか」を知ることで投資方法が決まります。
一般的に株価チャートが上昇中、すなわちグラフが右肩上がりの時が『買い』と言えます。
そして、一旦、株価チャートが右肩下がりへと変わった時に撤退する時です。
上昇中の銘柄なら「買い」で2段階ぐらいまでは利益が取れます。
反対に下降中の銘柄には手を出さず反転上昇を狙うのです。
移動平均線から株の動きを予測する
移動平均線は、「3か月と6か月間の株価の毎週の終値の平均値をつなげてグラフにしたもの」です。
3か月間すなわち13週の移動平均線を『13週移動平均線』といい、6か月間を『26週移動平均線』と言います。
株価チャートだけでも株価の方向性はわかりますが、移動平均線はもっとわかりやすいグラフにしたものになります。
13週と26週の移動平均線を利用すれば、「株の買い時と売り時のサイン」を見つけることができます。
ゴールデンクロス買いとは
ゴールデンクロスとは、「13週移動平均線が26週移動平均線と上昇して交わる点」をいいます。
ここを上昇のサインとしてとらえて、『ここで買いを入れる』ルールが昔からあります。
逆に、「13週移動平均線が26週移動平均線と下降して交わる点」を『デッドクロス』と言います。
ここが株価が下降するサインとなるので、この時点で『売り』を入れるのがセオリーです。
乖離率
「13週移動平均線と株価がどれだけ離れているか」によって「買いと売り」を行う方法もあります。
これを『カイ離率』と言い「下に離れていれば買い」「上に離れていれば売り」のサインになります。
株価が下がってマイナスのカイ離率が大きい株は、逆に反発して上昇することが多いからです。
逆の場合は『買われすぎ』と判断できるので、今後株価が下がっていく可能性が高くなります。
株価の方向性が一目でわかる
株にはすべて上昇、あるいは下降する流れがあります。
一旦株が上昇を始めると、多少の上下動はありますがしばらくの間(1~3か月あるいは半年以上)株は上昇していきます。
この期間が絶好の買い時、あるいは売り時となります。
移動平均線は、一目でその株が上昇中か下降中かがわかるので、多くの投資家にとても重宝されています。
出来高の意味を知ろう
出来高とは、「株を売買したとき売り手から買い手に渡った株数」のことです。
1日の出来高は、その日に売買された株の総数をいいます。
「その株の出来高が多い」ということは、その株が活発に売買されたということを意味しています。
出来高からわかること
出来高からは、その株の人気度(どれだけ投資家に注目されているか)を知ることができます。
出来高と一緒に株価も上がっていれば、それは活発に売買が行われ「上昇の勢いがある」ということになります。
また、「株価が大幅に下がっていて出来高が多い」場合は、その株に「見切売りが出た」と考えられるのです。
特に、短期トレードの場合は、「どれだけ多くの人がその株に注目し、実際に売買しているか」を押さえておく必要があります。
売買している人の数が少ない銘柄だと「いつ急落するかわからない」からです。
出来高と株価の関係は
出来高は、株価の動きに先行する性質があります。
株価と合わせて見ることで、株の「買いと売りのサイン」を見つけることができます。
出来高と株価が同じように下降していき、その両方が底値に達したときに下降が終わります。
その後、株価と出来高は反転して上昇を開始し、その両方がピークに達した時、上昇が終わり今度は出来高が下がりはじめるのです。
出来高による売買のサイン
買いのサインは「出来高と株価の両方が底値になった時」です。
逆に「両者がピークに達したら売りのサイン」となります。
また、出来高が急増している場合、株価が近いうちに急上昇する可能性を示しています。
逆に出来高が少ないのに株価が急上昇している場合は、近いうちに株価が急落する恐れを示しているのです。
短期トレードに必須!板を読む
板とは、銘柄ごとに「現在いくらで何枚の買い注文と売り注文が出ているか」を表した『株価情報』のことです。
中長期スタンスの株取引ではあまり板情報を意識する必要はありません。
しかし、デイトレードやスイングトレードなど、短期のトレードで勝つには板情報を読みこなすのは絶対条件です。
板情報の見方について
下図の板を例で言うと、320円前後に売り手と買い手の攻防ラインとなっています。
「320円なら売っていいという売り手」と「319円なら買っていいという買い手」が同時に存在している、ということです。
例えばここで、買い手の中に「320円でも買っていい」という人が買い注文を出すと、その場で約定して最新株価は320円と表示されます。
約定した分だけ、320円の左側の株数が板から消えていきます。
320円で売りに出されている株数が全て買われたら、次は321円で出ている株が買われることになるのです。
このようにして株価が上がっていきます。逆に株価が下落している場合はこれがまったく反対になります。
板に出ている買い注文に売り注文がぶつかり、買い注文の株がどんどん消えていき、株価が下がっていくのです。
短期トレードで板情報が欠かせないのは、買い手と売り手のそれぞれの勢いが手に取るようにわかるからです。
つまり、「他の投資家の動きをリアルタイムで見ることができる」ということです。
慣れてくれば投資家の心理状態までも、板から読み取ることが出来るようになります。
デイトレーダーのほとんどが、この板情報を見ながら動いているので、板を見ないでデイトレードをするのは無謀と言えます。
板情報からわかること
売り注文より買い注文の方が多い場合は「買い板が厚い」といいます。
株価が上昇しやすく、逆に売り注文のほうが多い場合は「売り板が厚い」と言って、株価が下落しやすいのです。
ですから、売りと買いそれぞれの注文数を見ただけで、「その時の流れがどちらに向かっているかがわかる」ということです。
上昇、下降エネルギーを理解しよう
短期トレードをしていると、「あるタイミングから突然、板のムードが激変する」ことがあります。
一見売り板が相当厚いように思えても、「あっという間に大量の売り注文が消えていく」ような場合です。
上昇エネルギーがある銘柄なら、そのまま株価は上昇していきます。
こうした現象が起きた場合は、何らかの大きなエネルギーが働いている証拠です。
このような強いエネルギーを発見したら、とりあえずそのエネルギーに乗っておくのが基本です。
板の動きに慣れよう
1日の中で確実に利益を取るには、板の動きを読み取ることに早く慣れることが必要です。
板を見ただけで、条件反射的にアクションをとれるようになるのが理想です。
実際のデイトレーダーの中には、この板情報だけで売買をしている人も多いのです。
カラ売り(信用売り)について
カラ売り(信用売り)は、持っていない株を売っておいて、株価が下がった時点で買い戻すことで利益を出す投資法です。
株取引には、現物のみの「現物取引」と、自己資金の数倍の取引ができる「信用取引」があります。
カラ売りは、信用取引で利用できる投資法で「証券会社から借りた株を売って、下がったら買い戻す」という投資になります。
現物取引では、株が下がっている状況では手が出せません。
しかし、空売りを使えば、株が下がっている時でも利益が出すことができるのです。
信用取引は投資の幅は広がりますが、リスクも高くなるので、初心者の方はやらないほうが良いと思います。
空売りを仕掛けるタイミング
カラ売りを仕掛けるには、様々なタイミングを知ることが必要です。
「出来高ランキング」「騰落率ランキング」「スクリーニング」などから、今後株価が下がるであろう銘柄を見極めます。
ここでは、「どのような場合にカラ売りを仕掛けるのがベストであるか」ついて解説します。
出来高ランキングを使う
カラ売りを仕掛ける場合も、「出来高ランキング」を見て、今注目されている銘柄を知っておくことは大切です。
出来高ランキングに見慣れない銘柄が出ている時、その銘柄は「祭り」が始まった状態の場合がよくあります。
”祭り”とは、出来高を伴った上昇で、次々と投資家が乱入してきている状態です。
そうした銘柄はとりあえず毎日チェックすることが必要です。
いつ反転し、急激な下落=カラ売りのチャンスがきてもおかしくないからです。
タイミングを理解しよう
カラ売りができれば、祭り銘柄に乗り遅れた(安いうちに買っておくことが出来なかった)からといって、無理に高値で買おうとする必要はありません。
その後の出来高と株価をチェックして、下落のタイミングをうかがうことで成功する確率が上がるのです。
どんな銘柄でも上がれば下がる時が来るので、反転して急落するところで、カラ売りを仕掛けられるようにチェックしておきましょう。
騰落率ランキング
カラ売りの場合は、やはり「株価下降率ランキング」をチェックして、大きく値崩れを起こしている銘柄に注目する方法が有効です。
相場全体が下げている時は、「下降率ランキング上位銘柄」がストップ安になっていることが多いです。
その後も下降するか、反転するかはわからないので、株価チャートのサインなどを見て判断します。
それでもほとんどの場合は、その後も下げていくことが多いです。
「下げ続けるであろう銘柄を見つけ、それに乗ってカラ売りを仕掛ける」ことが出来れば勝率は高くなります。
また、「上昇率ランキング」からも、明らかに買われすぎであろう銘柄を見つけることができます。
反落するところでカラ売りを仕掛ける方法も覚えておくと有効です。
スクリーニングで絞る
カラ売りでは、これから下がるであろう銘柄を探すので、買いに使う指標ををすべて反対に絞り込むことになります。
例えば、業績に対してあまりに株価が上がりすぎると、株価の割安度を表す”PER”が跳ね上がります。
そうすると「その銘柄は買われすぎ」と判断され、売りを考える投資家が続出します。
そこで、あらかじめ高PERをピックアップしておいて、カラ売りするタイミングをはかるやり方が有効です。
ただし、成長が期待されている銘柄では、100倍を超えるような値でも必ず下がるわけではありません。
また、下落サインである「デッドクロス」が出現している銘柄から、今後下落しそうな物を見つけるやり方も有効と思われます。
カラ売りをする条件は
ここではカラ売りを仕掛ける条件、すなわち株価が下がると思われるケースを挙げています。
株価が下がるケース例
- 株価が下がり、13週移動平均線が右肩下がりに入った銘柄
- 決算期の発表で、次期決算が予想以上に悪い場合
- 次期決算予想が、赤字などのマイナスの要因が発表された銘柄
- その企業に何らかのトラブルまたはマイナスのアクシデントが発生した場合
- 株価が急激に上昇し、13週移動平均線と大幅にかい離した銘柄が下げ始めた場合
この他にも、長い期間上昇し続けた銘柄が、やや新鮮味を欠いてきた場合、飽きられて下げに入るケースがあります。
そのようなときがカラ売りを仕掛けるタイミングとなるわけです。